ブランド立ち上げ時に…
最初は数を抑えて反応を見たい、最初は無理をしたくない、総生産数は抑えたいが品番数は増やしたい、などブランドを立ち上げる場合や立ち上げ当初は在庫を残してしまうことが不安です。なるべく小ロットで生産してこのリスクを少なくすることが重要です。
小ロットのメリット:販売力に合った生産数によりリスクを減らすことができる。
小ロットのデメリット:少量生産なので大量生産よりは1枚あたりのコストは増える。
最初はいろいろわからないことも多いものです。
以下は私たちがお手伝いしてブランドを立ち上げた方々の初回ミーティングのご質問です。
・どこで生地を仕入れたらいいかわからない
・工場はどうやって探せばいいのか
・ラベルやブランドネームはどこで作ったらいいか
・どうやって売ればいいか、販売先はどうやって見つけたらいいか
・いくらで売ればいいかわからない
・他でコストを見積もってもらったけど妥当かどうかわからない
・思い描くデザインはあるがどうやって進めればいいかわからない
・型紙(パターン)ってなに?
・どんな人がブランド立ち上げに必要か
・OEMとは
質問はこれ以外にもたくさんありました。
誰もが最初から色々知っているわけではありません。一つづつ進んでいくことで覚えるものですし、私たちも始まりはそうでした。ブランドの立ち上げというのは単に企業にいた経験があるから出来るというものでもありません。
どれだけたくさんの分野の経験(企画・生産・営業)があるか
もしくは「熱意」や「希望」や「夢」だけはある
このどちらかが必要です。
そんな…と思われるかもしれませんがこれが取引先すべてにあてはまる事実です。
なんでもいいから売上を上げたいとか、他のブランドと似たものを作ってそれより安ければ売れるでしょうとか、とりあえず何か作ってもらって売りたいとか、これでは失敗します。
立ち上げメンバーに「こういうものが作りたくて、それをこういう風に他の人に知ってもらって、こんなところで買ってもらえるようにしたい」という風景が描けないといつまで経っても前進しません。
これは経験がないと短期間に描くのは難しいので、具体的な例やブランドに合ったやり方をアドバイスする人がいた方が無駄な時間をかけることもないでしょう。
よく陥るのはこの無駄な時間をかけ過ぎるパターンです。
生地・素材選び、デザイン、工場選び、販売方法、これらに一貫性がなく時間をかけ過ぎてしまいブランド立ち上げ自体を短期間で失敗してしまう人や会社はたくさんあります。
思い描くブランド像に最短距離で進むことがなにより重要です。
ブランド立ち上げ数年後に…
立ち上げ当初よりは売れる枚数も増えてきた、顧客も安定してきた、デザイン数も更に増やしたい、リピート生産のスピードやコストを抑えたい、等々、当初よりは違った環境になってきます。
ここではその環境に合った生産方法へ切り替える時です。
「生産の安定化」が重要で、それにより顧客からの信頼を得る時期になります。
デザインやサイズや素材は顧客から評価される傾向をみて絞り込んでいけばいいです。
それでは「生産の安定化」とは?
ブランド立ち上げ当初は顧客企業から見れば、いくつかのデザインの内の一つでも特徴がある、荒削りだけど他にない可能性を感じる、デザイナーが良い、営業担当が良い、など複数の理由によってその会社との取引が始まったりします。
しかし、それは一時的なもので数年ももちません。
顧客企業が必要としているのは他ブランドと差別化されていてなおかつ売れるブランドです。
差別化とは、デザイン・素材・縫製・ブランドイメージの4つの完成度が上がってくると自然に差別化されてきます。
デザイン:一言で言うと商品の見え方に統一したテイストが感じられるように。まったく違ったテイストのシルエットやディテールや色使いなどが混在しないように。
素材:これもデザインと同じくであり、素材感や色に気をつけます。
縫製:ブランドテイストに合った縫製方法
ブランドイメージ:細かくは商品に付けるラベルやブランドネーム、他はwebやカタログや雑誌
売れるとは、一時的でも悪くはありませんが継続して売れることです。
すべての事柄は「継続して売れること」のために設計し紐付けして考えていきます。
「生産の安定化」とはこのすべてのレベルを上げることで「継続して売れるブランド」というステージに上げるためです。